いつも乗ってるスカイブルーの電車に揺られながら、いつも通り他愛もない話で盛り上がった。



今日は誰が泣くとか
東は女子に囲まれるとか
つばめは跳びたがるとか





そして、学校についた頃





「翼ーーーー!お前とも最後だなぁ!!」



思っていた以上に東は機嫌よく俺に飛びついてきた。




「うっせーよ、どせ月1で会わされることになりそーだからよ。」


まじでそんな気はする。




俺は経済のことを学びたくて、県南にある大学に進む。

東は関東の大学に陸上の推薦が来た。





まぁ、全国1位とったらそーなるんだろうが。

全国大会のあの日、本当に新記録をたたき出して優勝した東は関東No.1の実力がある大学で陸上することを決めたらしい。





俺は、陸上からは離れる。







目指したいことを、するために………。





「まじでさー、涼々はどこ行くんだよー」



東が涼々の肩に腕を回しながら言った。







「だーかーら!!それは教えないって!」







涼々の進路を知る人は、誰ひとりとしていない。

何を隠したいのかわからないけど、誰にも言っていないらしい。






彼氏だから教えろよーなんて言ってみたけど、効果はなかった。



高校時代はあの怪我から一度も大会に出ていない、そんな涼々だから陸上からは離れるとは思うけど………。




俺の母さんにそれを言ったから今朝はあんなの渡されたんだと思う。







「まあ、やりたいことやって、言いたくなったら言えばいんじゃね?どーせいつかはわかるもんだろ。」



俺が言うと、東は頬を膨らませ………






キーーンコーーンカーーンコーーン。




チャイムの音に慌てて自分の教室に戻っていった。





俺たちも自分の席に着くと、すでに泣いている担任が入ってきてクラス中が笑いの渦に包まれた。




こういいひとつひとつのことに『青春』そのものを感じた。




幸せ、だった。






悩んで、苦しんで、


でも諦めないで掴んだ、全国大会。






あの日のことを忘れないと思う。








卒業。





こんな言葉なんて存在しなかったら俺はまだまだ陸上を続けていたと思うけど………。