「ヒューーーーー!!!」
つばめが指笛を鳴らしたのが聞こえた。
でも俺は、すでに涼々に夢中になっていた。
それでもここは公共の場。
そっと唇を話すと
頬を真っ赤に染めた涼々はうつむいて
「ほんっとばか。」
俺の胸をグーで叩いた。
「すぐに嫌われたりすんなよーー」
「うるせっ!」
東がからかってきた。
でも、それさえ今は嬉しく感じる。
優勝できてよかった。
全国大会を決められてよかった。
また走るチャンスをもらえてよかった。
涼々を
見つめていてよかった………。
たぶん、一生忘れられない大会だろうな。


