風になれ




「翼おめでとーーー!!!」





スタンドまで登っていくと、先ほどと同じセリフを言われながら涼々に抱きつかれた。








「ありがとな、涼々。」





頭を撫でると、涼々の身体が少し震えているのがわかった。





「おい??」




「翼ーーーー」






何泣いてんだよこいつ。




まじで何回泣いたら済むのかってくらい、今年になってからこいつはたくさん泣いたな、と思う。





周りを見ると、そんな俺らを


呆れた目なのか

温かい目なのか



いろんな感情が入った目で見られた。




でも、なんだか居心地がよくて







今じゃなきゃ…………





「なぁ涼々?」


「ん?」


「顔上げてくんない?」






視界の隅で東が顔を真っ赤にするのがわかった。


こいつ、勘づくの早くね?





キッと睨むとてへっと舌を出された。






まぁどーせ、みんなわかってるんだからしょーがねぇ。






顔を上げた俺より20cm背が低い涼々を見る。







「俺……、お前が好きだ。


優勝したら言おうと思ってた。




ずっと俺の傍にいろよ。

俺が、どんなお前の涙だって拭いてやるし、
どんな悲しみだって消えさせてやる。



そんで、お前を1番笑顔にしてやる。





付き合って……。」







目をまんまるくしている涼々。



でも、すぐにまたその目に涙をためる。







「ダメって言うわけないじゃんっ!」





あーあ、泣き出した(笑)






そんな涼々の顔を手でグイッと俺に目を合わさせ









そっと、



唇を合わせた。