風になれ






最後の力を振り絞って



グイッとゴールに左足を突っ込む。








ゴールした瞬間、



全身から力が抜け





そのままえんじ色のタータンの上に倒れ込んだ。








「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ」








早まった呼吸はなかなか治まらない。




澄んだ空に空気を貪るように必死で呼吸した。









わぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!









会場に歓声が響いた。







「青葉高校、広川翼くん、インターハイ出場決定です!」





聞こえたアナウンスに、寝そべったままスクリーンを見る。








『インターハイ出場決定!
14分29秒51』





ぎりぎりだった。




だけど、



自己ベストで



全国大会を決めた。







何かわかんなかったけど




嬉しさが込み上げてきて…………








「うっしゃあーーー!!!!」





両手を空に突き上げた。










「翼おめでとーーー!!」








遠くから涼々の声が聞こえた気がして、体を起こした。






すると、ゴール近くのスタンドから

涼々が有姫とともにこちらに向かって手を振っていた。





「翼おめっと!早く帰ってこいよ!」



そこに東とつばめも来た。






「おう!」



と、立ち上がり……………







グラっと視界が揺れ、倒れそうになったところを





「っぶねーな、頂点さん」





ともに5000mを走り、いつの間にかゴールしていた駅伝部の部長に支えられていた。





「っんだよその呼び方……。

まあ、さんきゅ」




「照れんな、おい。」




両足で立たせてもらい、肩を軽く小突かれた。





ははっと二人で笑いあい、トラックから出た。











ホッとした。


今までやりたかったことが全部叶ったようなきがした。





まぁ、実際そーなんだけど。






でも





まだ走れる、


そう思うと嬉しさを堪えずにはいられなかった。