よくあることらしくて、
プレッシャーとか
不安要素とか
そういうのが原因の一つになったりもするらしい。
冬が明け、春になりシーズンインすると
短距離の練習でも過呼吸を引き起こすこともあった。
女子のリーダーであった涼々にとって重荷であったこともいくつかはあったんだろう。
性格はほんっと負けず嫌いで陸上バカなこいつだからそんなこと一言も喋んねーけど。
で、高校生になった今でも、こうしてたまに保健室に運ばれることがある。
前よりは減ったけどな。
その代わり、中3の頃にはなかなか伸びなかった記録は
高校生になった瞬間にはぐんぐんと伸びていった。
インハイ予選は100m2位。
県新人戦は100m、200mともに1位、100mでは新記録まで残した。
まあ、当の本人は200mで記録をのこせなかったことをかなり悔しそうにしていたけど。
……
あ、俺はどーなんだって?
インハイ予選は決勝5位で、新人戦では5000m4位、1500m3位ととりあえず入賞ライン。
まあよくやったと先生に俺らはベタ褒めされた。
まさか、気に入られてるとかないよな?
あの黒縁メガネから覗く鋭い眼光は怖すぎるくせに趣味は娘と犬の散歩とかなんだよあのギャップ。
佐藤 一(さとう はじめ)だから はじめちゃんなんて愛称で何気親しまれている。
いやでも、俺はまだ苦手なんだよなぁ。
と心の中で思う。


