風になれ




♪♪♪~




場内には気持ちを奮い立たせるのに丁度いい

アップテンポの曲が次々と流れていた。








「いよいよですね………。」






マネージャーはトラックに入ることはできないから

私と

有姫と

凪だけが陣地に残り、テントを立てたりしていた。






ひとしきりやりきり、


横断幕を後ろのフェンスに掲げた時





凪が呟くように言った。








今日は大会1日目。





今回は4日間にかけて行われ、

今日は基本、予選がある。



青高からは

短距離の選手と




東の八種競技が三種目ある。







今日は出場種目がないメンバーも


足合わせたり



体を温める程度の軽い練習をしていた。








そして、


9時から高跳びを控えている東は


超本気モードだった。









「あーー疲れたーーー。」





みんなが陣地に帰ってきた時、

東はすでに招集所に行っていた。








「あ!東、氷持ってってない!」








有姫の声に、全員が有姫の方を振り向いた。




今日は気温25度まで上がるらしい、蒸し暑い1日になるらしい。




午前中のかなりの時間を使うフィールド競技では必ず小さなクーラーボックスに氷を持たせるのは当たり前だったけど、

有姫は忘れてしまったらしい。





「あ、私届けてくるよ?」


「え、でも…。」


「それくらいの距離なら行けるから!」





あたしの足を心配したらしい有姫に無理やり断ってクーラーボックスを手に取った。






「転ぶなよーー」

「はーーい」





翼の声に振り向かずに返事した。





松葉杖を突きながら、右肩からクーラーボックスを下げ、東の元に向かった。