足の甲は、




真っ赤に腫れていた。



足首の少し下から、ほぼ全体的に。






「痛く………ねーのか?」






翼の声が震えていた。


よく見ると、その手までもが小刻みに震えている。







「痛かったけど………、わかんなかった。」






靭帯なんてとっくに治っていたと思っていたから

触ることもなくなったし

見ることもほとんどなくなっていた。







「お前……、自分の身体くらい、ちゃんと見ろよ。」





翼が絞り出すように言った。




「来週だぞ………。なんでこんなこと、してんだよ。。」







心からこうでなければ良いと懇願するような、

そんな声だった。








走りたい。
速くなりたい。







その一心で

自分の身体の異変にちゃんと気付けていなかった。





だから今こうして、翼が目の前で泣き出しそうな顔をしているという現実を突きつけられる。