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大会がついに1週間後に迫った今日。
私たちは練習量を少しずつ落とし、調整に入っていた。
そんなときに限ってだった。
「っ!!!!!!……痛っ…………。」
響くような痛みに顔が歪む。
思わずタータンに座りこんでしまった。
「涼々先輩っ!?」
毬乃が不安そうな顔で近寄ってきた。
「大丈夫だよ、何でもないから。」
「でも………………」
毬乃の言葉を遮るように手をあげ、立ち上がろうとした。
ズキッ…………………。
右足の甲に強い痛みが走る。
嫌な予感がした。
「おい涼々!!どーしたんだ!?」
近くにいた東が近寄ってきた。
「ん?大丈夫、だから。」
「んなわけねーだろ、一回来い。」
若干キレ気味の東の肩に腕をまわし、支えてもらいながら部室の前まで来た。
ちょうど、休憩中の長距離の人たちがいて………、
翼と目があった。
「何したんだ?」
不安そうに曇らせる瞳。
見るに耐えなくて俯いた。
東が段差のところで私を座らせてくれると、見ていた翼が立ち上がって私の方に来た。
シュッ…………。
翼は無言で私の右足の靴紐をほどいた。
シュッシュッと靴紐を緩め、それから靴下を脱がした。
「何でだよ………………。」
靴下の中にあった光景に、
誰よりも先に翼が反応する。
なんで?
聞きたいのは私の方だよ。
何でこうなってるの。
「ど、どーいうことだ?」
東は翼の隣に立ち、困惑していた。
「よく見ろよ。」
翼が東にしゃがんでよく見るように促すと
「っ!!!!!!」
東はあたしの足を見て言葉を失った。