風になれ




「行くよ。……………よーい、スタート!」



涼々の声で走り出す。




はじめは余裕だと思った。
やっぱり、女子だと。




でも涼々は言っていた通り、後半にスピードを持っていくようにどんどん加速していき、


残り100mの時にはすでに3mほど、差ができていた。






「68か。。いい感じ。」


走り終わったあともまだまだ余裕そうに立っている。






こいつ、本当に靭帯切ってるのか!?




県1位とはいえ、一度怪我をしている。

そんなやつに、負けてるなんて………。






「涼々、もう1本!」


そう言うと、


「もちろん!」





涼々は笑顔で答えた。







何度も何度も、風を感じるように、


風に流されていくように


スピードを上げていく。





夜のトラックで、少し大きめのライト一つの灯りの中




何度も何度も400mを走った。