初めてなったのは中2の冬だった。
駅伝の練習に切り替わり、長い距離を走るのが苦手だった涼々はキツかっただろう。
あの日のメニューはよく覚えている。
1000mレぺ12本。
異常だな。
レストは2分。
女子の設定タイムは3分45秒。
途中でついていけなくなったらしい涼々。
トラックのちょうど反対側で倒れ込む瞬間を俺は見ていた。
男子と女子は秒差があったため、ちょうどその時俺らは2分の休みに入っていた時だった。
『あ、涼々どーしたんだ?』
隣で仲間が呟いた。
気づいた先生が走っていき、涼々を両腕で抱えて保健室に連れていっていた。
過呼吸は一度癖ついたらなかなか抜けない、といつの日にか聞いたことがある。
それを知ってか知らずか、涼々は呼吸が乱れるのを必死で隠し、自分の走りに没頭した。
練習終わりにはよく倒れてしまうこともあった。


