風になれ



すぐに来た学校へ向かう電車に乗りこみ、二駅乗り越したところで降りた。




そこから学校へはすぐだ。





走れば、俺のスピードだと1分かからないと思う。





「はぁ、はぁ…ふぅーーー」


若干上がった息を深呼吸で整えてから校門をくぐった。





校門から校庭を左に曲がり、少し進んだところにトラックはある。




近づくにつれて、ライトでトラックが照らされているのがわかる。







「練習してんの?」






土のトラックの上に膝を立てて仰向けに寝転んでいる涼々に近寄りながら言った。






「人前じゃ、出来ないことだってあるから。」






少し考えてからトラックを見ると、様々な色のマーカーが5m間隔に置かれていた。





たぶん、ポイント練習をしていたんだと思う。
今年のスプリントチームは全員が100m。

そのため、涼々は200mを練習することがほとんどなかった。




だけど
来月あるインハイ予選で涼々は100mも200mにも出場する。




そのための練習をしていたんだ。