風になれ



―――――――――最近、涼々と一緒に帰ることがなくなった。





朝も帰りも、同じ時間の電車に乗ってこの通学路を行き来する。




だけど、涼々が走るようになってからのここ2週間。



『先帰ってて!』



そういって涼々はいつもどこかへ行ってしまう。
仕方なく、俺はひとりで帰ることにしていた。





今日だってそうだ、


『最初に帰ってていーよ!遅れるから!』


それだけ言って、涼々は倉庫に走っていった。
片付けなんて、1、2年に任せればいいのに。


なんて思ってたから………、





ピローーーーン――――――




携帯の音が自分の部屋に響いたとき、異常に反応してしまった。



この音は涼々に何かあった時にすぐ気づくよう、あいつのためだけに設定した音楽だから。






▶▶▶


学校きて?


▶▶▶






何を言ってんだか。

もう、8時過ぎてる。暗いしめんどくさい。
そう思った。


だけど、





▶▶▶


わかった。


▶▶▶





意を決してそれだけ返信し、ランシューを持って家を出た。





「ちょっと、どこいくのーー?」

「学校ー」


心配して玄関まで出てきた母さんに一言告げ、家をあとにした。





涼々が何してるか、わかったから…………。