風になれ




久々に履くトレーニング用のシューズで外周にまわった。




やっば、軽い………。




休んでいる間は減量と筋肉増量にとにかく努めた。

その甲斐あって、久々に走ってみたけど、身体は意外と軽く感じた。




だけど



やっぱり前に踏み出すっていう感覚が、いまいち掴みきれない。






どんだけ衰えてんだろ……。


自嘲した。





でも、ここで止まってはいられない。


進まなきゃ、



誰よりも速く

ゴールに飛び込むために。







30分くらい、ゆっくりとしたペースで外周をまわった。


初夏を感じさせる緑がそこら中にあった。






背中にじっとりと汗をかいた頃、私は走るのをやめた。







やっぱり久しぶりに走ったせいで息があがる。







それでもこの感覚が懐かしくて、もっと味わいたいと思った。



そうだ………、練習戻んなきゃ。






ほどけかけていた靴紐をキュッと結び直し、みんながいるトラックに向かった。