風になれ




「私ね、入院することになるの。手術だから当たり前なんだけど………、学校からも離れることになる。」







どれくらい泣いたかわかんない。





しばらくして心に余裕ができてから、今日の今までにあったことを翼に話した。







翼はほとんど何もしゃべらなかった。




ただ、あたしの話をうんうん、と黙って頷きながら聞いてくれた。







「戻ってくるなら、俺は待ってる。」






話終えた時に、ひとこと、翼が口にした。







待ってる………………。






その一言がとてつもなく嬉しくて、しっかり心に残ったように思った。






私の目は泣いたことによって赤く腫れていたと思う。




翼が私の涙袋に触れた手がひんやりと、冷たかったから。

ジーンと、心にまで染み渡るようだった。









1月。






私は苦しみ、辛さ、すべてと闘うことを決めた。







走れないということは、私の人生そのものを奪ってしまうこととほど変わりないと思う。


それだけ陸上に全力を捧げてきたから。

それだけ陸上に本気だったから。






『早くても、3ヶ月は………』





医者の言葉が頭の中で何度もリピートされる。


3ヶ月。








この日から、私の長い3ヶ月の闘いが


始まったんだ。