こいつはいつからこんなにも人の気を遣えるようになったんだろう。
つい最近までは俺がカーテンを開けると恥ずかしいとか言って締め出されてたのに。
俺は涼々がこの時だけに見せる悲しそうな瞳が大嫌いだ。
俺の知ってる涼々じゃない。
涼々はこんなに弱くない。
そう、心が叫ぶ。
でもこれが、涼々の本気の証なんだ。
……………
持ってきていた制服を渡し、俺はカーテンの外に出て涼々を着替えさせた。
2、3分してカーテンを勢いよく開けた涼々の笑顔はもう、いつもの涼々だったんだ。
「行くか。」
よろめいて倒れてしまわないように、涼々をよく見ながら下りてきた階段を登る。
涼々は今日も、朝練中に過呼吸になった。


