走れればいい。
どんな状況だって、走れる足があれば他に何もいらない。
裸足だってかまわない。
そう思っていたから………、
「自然治療だと半年は必要ですね。手術をすれば、3ヶ月での復帰は可能だと思われますが………。」
冷静すぎる医者に逆に腹が立った。
今日から、半年走れないなんていったら、高校生のうちにもう走ることは出来ない。
なら………………
「手術……、したいです―――――――。お母さん、いい?」
手術という手段をとる他なかった。
「いいわ、手術して治るなら、手術すればいいわ……。また走れるようになるんですよね、先生??」
「はい、早くても3ヶ月はかかりますが。では、手術するという方向で大学病院に書類を送ってよろしいでしょうか?」
つまり、入院ということ。
学校からも離れなければならなくなった。
「では明日、青葉大学病院に向かってもらってよろしいでしょうか。今日のところは、包帯と松葉杖ということで……。」
病院を出る頃、
私の右足は誰が見ても怪我をしたようにしか見えない
痛々しい光景に変わっていた……。


