風になれ




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「一応、レントゲン撮影してみましょう。」





この匂い、嫌いだ。




この無機質な声が、嫌いだ。








ただ患部を見てもらってアイシングすればいい、で終わると思っていたのに、



予想以上に診察は長引いた。





医者の何の感情もない、機械的なその動作に腹をたたせながらレントゲン撮影を行った。








それから1時間くらいして、再び私の名前が呼ばれた。




「普段、平たんな道しか走っていませんか?」



「え、はい……まあ。」






なんとなく、胸騒ぎがした。






「つい最近、転んだりしませんでしたか?」



「転んでは………いないです。」







不安なことってこんなにもあたりやすい。







「では、石につまづいて足を捻ったりということは?」


「それなら、1週間くらい前に…。」






あたしの言葉に、明らかに医者の顔が歪んだのが見えた。






「おそらく、一番の原因はそれだと考えられますね。」






足の甲だから、捻挫ではないと思うんだけど……。


私の今までの経験から必死に怪我かどうか探ってみた。






だけど――――――――







「踵腓(しょうひ)靭帯が断裂していますね。かなり……、ひどい状況です。手術を受けることを勧めますが、どうしますか?」







頭の中我まっしろになるってこういうことかって感じた。




踵腓靭帯??



そんな靭帯聞いたことない。





その後、足の甲と足首をつなぐ靱帯だとか、治りづらいとか説明があったように思ったけど、ほとんど覚えていない。








それより、あたしが聞きたいのは………







「走れますか??」