《side 涼々》
たぶん、駅伝大会の日からだったと思う。
右脚の甲に体重をかけた時に痛みが走る。
何ともないと、思っていた。
ちがう。
何ともないことを、願っていた。
冬に練習しないと、春になってから記録が残せないことはよくわかっていた。
今、
今やらなきゃいけないことがたくさんある。
怪我なんてしたくない…。
だけど、その気持ちとは裏腹に
足の甲の痛みは日に日に増していった。
そして―――――――――。
「涼々っ―――――!!?」
有姫の声を聞いて、走れなくなった悔しさを存分に思い知った。
右脚の甲が酷く痛み、体を支えきれずに右脚を着地させたと同時に崩れ落ちたんだ。
苦痛に顔が歪んだ。
こんな痛みを味わったの、いつぶりだろう……。
痛くて、涙まで出てきた。
翼に心配されても、痛さと涙でうまく言葉にすることができなかった。