先ほどの言葉は訂正させていただきます。
短距離も十分きついみたいです。
短い距離でも本数を異常にする俺らの顧問は、短距離でも走距離は長距離とほとんど変わらないらしい。
……気まぐれで時計を見ると
なぜか少し曲がっている長い針が2の数字を指していた。
「しゃーねーな。迎えに行ってくるか。」
「おーう、いってら〜」
手を振る東に軽く手をあげて教室を出た。
HRもそろそろだというのにがやがやと騒がしい廊下を歩く。
3階から階段を下り、保健室の前についた。
ここに来ると、いつも考える。
どんな顔して入ればいんだろうとか
どんな言葉かければいんだろうとか
別に涼々はそんなの気にしてないんだろうけど
俺なりに少し気を使ってしまうところがある。
コンコンコンっ………
「失礼しまーーーす。」
ガラっと扉を開けると中はしんと静まり返っていた。
一箇所だけカーテンで仕切られたそこが、俺の目的地。
「涼々ーー??」
しゃっとカーテンを開けると、両目を腕で覆いながら
まだ肩で息をしている涼々が
ベッドの上で横になっていた。
「翼(つばさ)………。」
細い声で俺を呼ぶ涼々にん?とできるだけ優しく答える。
「ごめんね、いつも…。」
――――――――。