風になれ




中3の、最後の駅伝大会だった。





俺らは県大会優勝を目指し、練習に励んでいた。



だけど、本番の結果は8位。

入賞にギリギリ届いただけだった。






全員が悔し涙を流す中、1人だけ、涙をこぼさずに後輩の背中をさするやつがいた。





それが青高駅伝部の部長だった。






『なんで負けたか知ってるか?』





よく覚えてる、あの日の会話。





帰りのバスの中、みんな疲れ果てて寝ていたけど、俺と部長だけはずっと会話をしていた。




話が止まり、バスの揺れる音だけが響いていたその時、あいつは言った。



『気持ちで負けてたんだよ、俺ら。』






上辺だけの県優勝だったと、あいつは言った。



目標は、夢だったと。

叶えようとしなければ叶わない夢であったと。







気持ちで、負けちゃいけないんだ。


それは自分自身、よくわかってる。
それを、何度もわかるようなレースをしてきた。




だから、今回だって、





自分の種目ではないけど、


本気じゃなきゃ意味無いんだ。


襷をぎゅっと握った。





これまで繋がれてきた思いを。

たとえ、Aチームじゃなくてもそれぞれの思いはあるんだ。




残り1kmに差し掛かった時、早いとは思ったが襷を外した。


ラスト、全力を注ぐため。