「翼、後輩が待ってるよ。」



「―――涼々……。」





声がした方を向くとすでに汗を髪から滴らせて、ランパンにTシャツ姿の涼々がいた。





「いつまでたそがれてんの。早くいきなって。」




差し伸ばされた手を掴んで立ち上がった。




「おう、お前も無理すんなよ。」


「ばーか、心配しすぎ!早く行ってあげて!」




さっき先輩が俺の頭をクシャってしたように涼々の髪をクシャっとしたら恥ずかしそうに俺の後ろにまわって背中を押してきた。




はいはい、と言いながら後輩が待つ方へ走り出した。








100m1本のために本気でアップして、


全力で走り抜けて。



たまには悪くないかもな。







でも待てよ、これから8000mなんて








キツすぎるだろ………。