風になれ




「おめーら、昨日走ってたか??」



次の日の放課後、部室に入った瞬間に声をかけられた。





2年2組 駿河 つばめ(するが つばめ)。

種目はハイジャンプ。


こいつは今年、地方大会チャンピオンに輝いた。

練習が大好きで負けることを嫌う、そんなやつ。




「あぁ、走ってたけど?」


若干睨みをきかせていたつばめの目が急にうるうるし出した。





「俺も誘えよー!!俺も跳びたかったのにぃ!!」


「見かけたんなら来ればいいじゃん。」


肩を掴んで揺さぶられる。
なんだよこいつ。



「行きずれーわ、イチャイチャしちゃってなぁ!!!!」




どういうことだよ。




「俺、1人で寂しく道路走って………」


「ちーーーっす」




後輩の声に俺とつばめは耳をすませた。




2年は俺とつばめと東しかいない。

東も部室で着替え終わってスポーツ雑誌をペラペラとめくっているところだ。




涼々達女子はすでに校庭に出ている。





ということは………。








「なに抱き合ってんだよ、ふたりして。気持ちわりーぞ?」



不敵な笑みを浮かべ、部室に足を踏み入れたのは………




「「樹(たつき)先輩っ!!!!」」

俺とつばめの声が揃った。



「いやー、大学決まったし、走ろっかなって。」




「え、どこに行くんですか?」



つばめがすかさず聞いた。



「一応、東峰大学、もちろん推薦でね。」





東峰大って、、




「めっちゃ強豪校じゃないっすか!?」


「おいおい、そんな騒ぐなよ翼ぁ。あんま知られたくないんだって、まだ。」



頭をかきながら照れくさそうに笑う樹先輩。


さすがだな、青高。