風になれ




「卒業式の日から、知ってた。」


『そんなに前から……。』


なんか落ち込んでるつばめに笑いがこみ上げてきた。



「だって俺、彼氏だぞ?」


なんて言葉を言ってみた。




『そーだな………。』

だからなんで落ち込んでんだ?(笑)


「お前も、勉強がんばれよ?」


『おう………。』



若干まだテンションが治らないつばめだったけど、





『お前も………、ちゃんと涼々の勇姿を見とけよ?』



「当たり前だろ。」




後輩思いであの頃のように頼れるつばめに戻っていた。






つばめとの通話を終了し、久々に東の番号を開いた。





電話しようと思ったけど………、

あいつの学校が土曜も授業あったりするのを思い出して諦めた。



まあどうせ、テレビは見てるだろうし。

今日の夜にでもかければいいや。






それから樹先輩に言われた『4時』までは競技を周りに混じってアツイ目で観戦していた。



いつぶりに、こんなに本気で陸上を見ただろうか。







誰かの本気を見るだけで心が熱くなる。
誰かの本気を見るだけでもっと応援したくなる。
誰かの本気を見るだけで陸上という世界に吸い込まれていく。
誰かの本気を見るだけで陸上が好きになる。




俺は相変わらず陸上バカだったんだ。





本当は、まだ走りたくて仕方が無いくらい、陸上をしたいんだ。







「あーー、走りてーなーー。」


伸びをしながら叫んだ。











「走ってくればいいじゃん。」














「す…、ず………?」