くだらないことを話し合って、
笑って、
悩んで、
勝負して、
いつの間にか東は俺の中でいなくてはならない存在になっていた。
中学の頃は
水川中のやべぇヤツ。
という呼び方をしていた。
まさか今、そんなやつが親友みたいな存在だって過去の自分に言いに行けるなら行ってみたい。
どんな反応するんだろうか。
俺だから、
は?
なんて笑い飛ばすんだろうな。
「あー!きたーー!待ってたよーーー!」
学校の馬鹿でかい校門をくぐると、聞きなれた透き通るような声が響いた。
「やっぱ、お前も来るんだな。」
涼々はスパイクを履き、もうすでに走っていたようだった。
グラウンドにできた簡易なレーンを見て気づいた。
「お前、ハードルやんのか?」
涼々は短距離の選手だ。
でも今まで障害種目とかそういうのに興味を持たなかったやつだ。
ただ真っすぐに、ゴールだけを見て風を切る。
そんなやつがハードルやりたいなんて思い出すなんて、何があったんだよ。


