風になれ




結び終わり、レーンに入る。



俺は4レーン。

野田が5レーンだ。





絶対に負けらんねえよ。

涼々がキラキラしてるだけじゃ、俺の体はうずうずしてくるだけだ。






「勝負だ、出雲。」


スタブロに足をかけ終わり、一度タータンから手を離してゴールを見つめた時、

野田が言った。





「その勝負、のったぜ野田。」





タータンの白いラインギリギリのところに手を着く。






「set………」






はじまる。







パンッ!!!!!!!!







俺の身体は弾けるように風の中に飛び出していく。









俺だって、まだまだ負けてらんねぇんだ。




俺らにとって幻となってしまった涼々の全国大会。



だけど、あいつはみんなの思いを裏切り、ここまで上り詰めた。




俺だって、






まだいけるんだよ。






まだ、終わらせねえよ。







最後の1歩、




俺は力で前に出た――――――。