翌朝、いつもより30分早く目が覚めてしまった俺は、久々にランシューを取り出し、適当にジャージを引っ張りだして着替え、家を出た。
すでに太陽は登っていて、少し暑さを感じるくらいだった。
朝早くから太陽の熱を浴びると、
よく二年前までのことを思い出す。
本気で、
がむしゃらで、
限界を知らなくて、
青春してたな、って言える。
そんな日のことを。
1センチでも高く跳ぼうと神経を指先まで尖らせてバーを跳ぶ、あの日々を一生忘れないと思う。
暇な日によく走るコースを一周して家に入ると美味しそうな匂いがした。
「おはよー」
「おはよーさん。」
ばーちゃんのご飯はすごく好きだ。
俺の親は洋食を好む人だったから食卓にはよくパンが並ぶ。
でも俺は
「うっわ、おいしそ。」
「どーぞ、お食べ?」
「いただきますっ!」
このキラキラと輝く白米が好きなんだ。
地元でとれる白米を口いっぱいに頬張る。
中で米の甘さをじっくりと噛みしめる。
「今日も陸上、見るのかい?」
「あぁ。あいつが出てくるまではぜってーテレビから離れてやんねー。」
「そーかい。」
じーちゃんもばーちゃんも、俺が誰のことを言っているか知らないと思う。
だけど
”あいつ”
っていう表現だけで、楽しそうに俺のことを見てくる。
早く出てこいよ涼々。
俺はこのまんまいつまでもテレビに食いついていられるわけじゃねーんだよ………。


