風になれ




卒業式の日、いつかわかると、


涼々は確かに言った。



いつか、必ずわかると……。





きっとそれが、これなんだ。


必ずこの舞台に立つって決めていたから。


ここに立てば全員が見てくれることを知っていたから。






夢にまで見た、涼々が頂点に立つところ……。






どこからかふつふつとやる気が溢れてくる。







「っしゃーやるぞー!」


「お前、いつになく元気だなぁ」



俺の気合いの声に先輩が笑う。





「まだまだ負けられない相手がいるんでね、」



メッシュ素材のTシャツに腕を通す。





まだまだ負けられない。







まさかそんなに衝撃的な事実を知るなんて思いもしなかったから、家で番組を録画なんてしていない。

たぶんあの光景はもう一生見ることは出来ない。




それでもいいんだ。


俺の心の中にしっかりと刻まれたから。




高校生のときの涼々からは思いもしない、



幻のような




涙だったから―――――。