あなたにあてた手紙 〜とある夏の日〜









二十歳になった時、この手紙は貰わなかった。



どころか今初めて見た。



「なんで渡してくれなかったんだろう...」




......おばあちゃん。



そうか。おばあちゃんも昔は体が弱かったんだな。



俺も喘息が酷くて、なかなかみんなと遊べなかったことがあった。


喘息はすぐに良くなったけど、おふくろとずっと一緒にいられたからそれなりに幸せだった。



......どこの子供も同じだな。



くすりと笑った。






他の俺宛の手紙を読むと、毎年俺の誕生日に手紙を書いてくれていたみたいだった。



一歳の誕生日、二歳の誕生日.....。



七五三のお祝い、小学校入学、運動会、リレーで初めて賞状をもらった時......。



こんなこともあったな、と思い出が蘇ってきてまるでアルバムを1枚1枚めくっているような気分だった。