私の家に着くと、如月は私の手を離した。
それがなんだかあっけなくて、私は一瞬如月の手を掴んでしまった。
「...どうした?」
「あ、いや、ごめん。何でもない。ありがとう、送ってくれて」
「いや、俺が送りたかっただけだし。」
「...ありがと。じゃあ気をつけてね」
くるっと背を向け、家の中に入ろうとすると、
「冬坂さん!」
如月に名前を呼ばれた。
「なに?」
「...これ。」
「...なにこれ?」
小さな袋を渡して、如月は、“綺麗な形だよね、今日はありがとう”と言って来た道を帰っていった。
...は?
...なにそれ。形?
とりあえず袋を開けると、そこには
「...うそ...」
今日、私が手に取った月の形のネックレスが入っていた。
「...買ってくれたんだ...わざわざ」
綺麗な形...か。
確かにそうだけど、このネックレスをいいなって思ったのは
如月の“月”
と
凛月の“月”
が一緒だから
なんて、口が裂けても言わないけど
心の中で思っといてあげる...よ。


