家に帰ってから、私は部屋に直行して、ベッドにダイブした。
恥ずかしい...
あのあと、ダッシュであの場を切り抜けた私は、家までどう帰ったのかも分からず、ただ、走っていた。
家についても鼓動が早いまま。
きっと、走ったからだ。
そうだよ、うんうん。
「...何やってるの?」
私がベッドでワーワーやっていると、部屋に突然入ってきたお母さん。
「ちょ、お母さん。ノックくらいしてよ。プライバシーが」
「はいはい、もうご飯できるから、制服から着替えて、下降りてきてね〜」
「はーい」
お母さんは、いつもと変わらず。
それを見て、私はなんで悩んでるんだろうって思って、どうでもよくなった。
もう、めんどくさいし、考えるのはいいや
サッサと制服から部屋着に着替えて、下に降りる。
リビングには、お兄ちゃんと、めずらしく、お父さんがいた。
「お兄ちゃんも、お父さんも早いね、どうしたの?」
「ん?あぁ、今日は仕事が早く上がってな。」
「俺はバイトが無かったから〜」
「ふぅん...あ、お母さん、ご飯なに〜??」
「えっとね、今日は唐揚げとサラダよ」
私の大好物だ!!
やった、これでさっきのもやもやも少しは紛れるかも
「あ、そういえば、凛月。」
「何?」
「お前さ、彼氏いる?」
「ブッ」
「あーら??なになに〜??♡お母さんもまーぜて♡」
「夏海。なんで興奮してるんだ」
「あら、晴人さんは、興味無いんですか?」
「そりゃあ、娘の恋愛話に興味は、あるが。後でゆっくり聞こう。今は食事だ」
「あ、そうね、ほら、樹月も凛月も、早くこっち来て」
「はーい」
ふぅ...良かった。っていうか、お兄ちゃんなんで急にあんな質問を...
何はともあれ、お父さんのおかげで質問攻めは免れた...
って、前も、お父さんに同じようなことを聞かれた気がする...
ご飯を食べながらする話は、至って普通。
お兄ちゃんのサークルの話とか、私の大学の話とか...
「でも、本当に一人暮らしするの?」
「うん、出来れば」
「なんで?俺と同じとこ受ければいいじゃん、お前なら余裕だろ?」
「んー、そこは、ちょっと」
「...やりたい事をやりなさい。そこの大学で、したいことがあるんだろう?」
「...うんっ」
お父さんは、こうやって、たまにだけど私のことを分かって、背中を押してくれる。
「でも、心配ねぇ、変な虫がつかないか...」
「あー、わかるわ。凛月とか、絶対変な男に好かれるもんな」
「そこは、私に似たのかしら?」
「夏海。それは、俺が変な男ってことか?」
「あ、ち、違うわよ...あははは...」
「...後で話そうか」
あー、お母さん、またお父さんのスイッチ押しちゃってんじゃん
っていうか
「お兄ちゃんに言われたくないし。今まで彼女できたことあったっけ?」
「あー?あるに決まってんだろ?俺を誰だと思ってんだ」
「ただのお兄ちゃん。」
「そうだよ」
認めるの!?
てか、彼女いた事あるの!?
「でも!私だって見る目くらいあるし!!」
「そうか?だって、俺、会ったぞ?雨ん中ずーっと待ってんの。顔はイケメンだったけど、お前のこの待ってるって分かった時点で頭がおかしいことが立証された。」
「失礼な、私は外で待つほどの価値があるの〜」
「馬鹿な。あ、でも、途中で帰ってった。3時...くらいかな?諦めたふうに」
「...え?それって、どこ?」
「ほら、図書館の近くの公園。んで、その後にお前が来て、5時くらいまで、お前いたよな?」
「......ひとついいか?」
「父さん、何?」
「お前は何でそこに何時間もいたんだ?」
「あー、彼女を待ってたんだけど、全然来ねぇの。だから、七時くらいまで待っててやったら、メールで2時くらいに『ごめん、今日行けなくなった!』って来てたのに気づいて帰った」
「樹月、お前、バカなのか」
「父さんひでぇ」
お兄ちゃんとお父さんがふざけて話している中、私は夏休みのことを思い出した。
あの時、ホントは来てたんだ。
でも、来ないと思って帰った...
その後に私が来て、また戻ってきたのが
如月だったんだ
何やってんの、本当に、バカじゃん、アイツ。
頭おかしいよ...
「...凛月?どうかした?」
「...ううん、なんでもない。ご馳走様」
「あら、もういいの?」
「うん」
私は再び、部屋に戻って、ベッドにダイブした。
あぁ〜...なんでこう、モヤモヤが続くかなぁ...
いや、いちいち悩んでる自分が悪いのか...
自分が...めんどくさい...


