行列になっていた体育館にやっとのこと、入れた私はギリギリイスに座ることが出来た。
はぁ...眠たい...
と思っていたら始まるのよね...演劇って。
えーっと?『ロミオとジュリエットとその他』??なにそれ。
なんか、変なのくっついてんだけど、
何その他って。
とりあえず、見るは見るけど...
「あぁ、ロミオ...とその他...あなたはどうしてロミオとその他なの??」
「あぁ、ジュリエット...とその他...」
意味わからん。
なんだこの茶番は。
元のロミオとジュリエットの方がいいわ。
普通にそっちのがいいわ。
「...本日の講演は、以上をもちまして終了とさせていただきます。お忘れ物のないよう、お気をつけてください。出口は......」
放送がかかり、私はもう三時だということを知った。
はや...
ロミオとジュリエットとその他、ってやつも意外と面白かったし、軽音部は相変わらず面白い演出をしていた。
さて、そろそろクラスの片付けに参加しに行かなきゃいけないかな
クラスに戻るのも一苦労で、いつもなら5、6分の廊下も、十分かかってしまった。
そのおかげで、私がクラスについた頃、片付けはほぼ終わっていた。
ただ、姫崎がテーブルクロスやカーテンなどの片付けに困っているだけで、他はみんな簡単に片付けを終わらせ、明日の準備をしていた。
私の高校は、2日間学園祭がある。
出し物を変えるクラスもあれば、同じ出し物を続けるクラスもある。
うちのクラスは後者だ。
「あっ、凛月〜!!もう、どこいってたの?」
「あぁ、体育館でいろいろと見てたら、遅くなっちゃった。ごめん」
「そっか、なんか面白いのあった?」
「んー...演劇、かな?」
「そっか!明日は見に行ってみようかな...」
そう呟いた朱理を横目で見てから、私も残りの片付けを手伝った。
そして、夕方の5時になった。
もうほとんどが家に帰り、学校にいるのも、多分数十人ということになった。
私は、ゴミを捨てに行く、という理由で最後のカギ閉めまで頼まれてしまった。
まぁ、全然片付けを手伝えなかったから、仕方ないか
ゴミを捨てに行くと、もうそこには、全クラスのゴミというゴミが集まっていた。
「...はぁ......」
こんなにバラバラに置いてたら邪魔じゃん。
なんでちゃんと捨てないの?どうせ、男子たちが投げて遊んだんだろうけど......
私はゴミ袋たちをあまり幅を取らないように並べて、自分が持ってきたゴミを捨てた。
教室に戻ると、夕日が差し込んでいて、すごく綺麗だった。
私はスマホを持ち始めてから、こういう、何気ない景色が好きで、撮りためている。
人によっては、変な趣味かもしれないから、朱理にも言っていない。
きっと誰も、知らないはずだ。
カシャッ、と1枚とり、カバンを持って、鍵を閉めた。
職員室まで行く途中、数人に合った。
まだ、居たんだ。
と、考えながら、私は鍵を返し、下駄箱まで歩いた。
今日はなんだか、無性に疲れた。
昨日も、いろいろと疲れたけれど、今日の方が疲れた気がする。
こんなに歩いたり、動いたりするのは、中学の部活以来かもしれない...そう思うほどだ。
さぁ、今日はもうすぐに帰ってすぐに寝よう。
そう思ってたのに.........
「......」
「あっ、冬坂さん。やっと来た」
「...」
「ちょ、どこ行くんですか...」
「なんでいるの」
「待ってた。」
あー、こういうシュチュエーションで待ってた、とか言われたら胸きゅんだよね〜?
とか思ってんのかな?
ざーんねん。私はそんなの全然...効かないからねっ...
「あれ?どうしたの?冬坂さん、顔...赤くない?」
「ち、ちが、別に!」
あれ!?どうしたの私!?こんなの前まで平気だったじゃん!!
スタスタと、無言で隣をすり抜けると、ふいに腕をつかまれてしまった。
「ねぇ、明日は一緒に回ってくれるんでしょ?」
「...っは??なんで?」
「だって、今日は、一緒にいられなかったし、俺、冬坂さんのことがすきなんだけど?」
「......あっそ!!明日のことなんて知らない!!」
「あ、冬坂さんっ!!」
何何何何何...!?
さすがイケメンだね、あんなセリフを軽々と...!!
あー、もう嫌だなぁ、
顔があつい...


