10時5分。


朱理と待ち合わせをして、5分が過ぎた。


まぁこれはいつもの事で、朱理と遊ぶ時は大体私が先に来て、朱理は遅刻してくるっていうパターンが多い。


それにしても、今日は一段と遅いな...
まさか寝坊?


そんなことを考えていると、前から、走ってくる低めのツインテール。

間違いなく、あれは朱理だ。


でも、朱理は1人じゃなかった。



「げっ...」


「ごっめーん!!!遅れた!!」


「ごめん。冬坂さん」


「いやー、まさかこの俺が寝坊するなんて...」


...いやなんで、さも一緒に待ち合わせしてました風なわけ!?


グイッと朱理の腕を引いて、2人に背を向ける。


「ちょっと...なんであんたの彼氏と無自覚天然ヤローが一緒に来てるわけ」


コソッとあいつらには聞こえないように喋ると、朱理はバツが悪そうに目をそらし、


「じ...実は.........」





朱理の話によると、昨日の夜、上村と電話をしていて、明日の予定を話していると、偶然、見に行く映画や時刻が一緒だったから、ダブルデートしようっ!とかなんとか勝手に決めたらしい。



「...帰る。」


「あぁ!待って待って!!ダブルデートなんだから、凛月がいないと成立しないよ!!」


「私はデートしに来たわけじゃないし、如月とデートなんてしたくない!」

「そんな事言わずに!ね?」

「〜〜っ分かった。でも、今度アイスおごってね」

「ほんと!?お安いご用だよ〜」




キャッキャっしながら上村のところに行ってイチャイチャしている朱理は、女から見ても可愛い。


あーいう女子に弱いのか、男子っていうのは


「そんなことないよ。俺は冬坂さんみたいなハッキリした性格の人のが好きだよ」

「そんなわけな...って!心を読むな!」

「読んでないよ?口に出てた。」

「えっ...」


思わず口を抑えると、その行動のどこが面白かったのか分からないけど、クスクスと笑っている無自覚天然ヤロー。

なんだか分かんないけど、バカにされた気がして


「はやく行こ!!!あんたは来んなぁー!!」

「待って冬坂さん!」

「来んなぁー!!」




後ろからグイッと手を掴まれ、私は後ろに倒れそうになった。


そこをどこのマンガかっていうくらいのタイミングで私を支えた如月。


「っぶね。大丈夫?冬坂さん」

「...あ、ありがと......」

「...うん、あ、ごめん。手、離すね」

「うん...。」


って何相手のペースに飲まれてんだ!!


「ひゅーひゅー、おふたりさんお熱いね〜」

「やっぱり何だかんだ仲いいね〜」

「...うるさい。殴るよ」

「「ごめんなさい」」


それを見て、またクスクス笑う如月
っ...。あぁ、なんか今日暑いな。

もうすぐ夏だしね!

そうそう、夏が近づいたせい!




「......ねぇ、今日のうちに、あのふたりをいい感じにしちゃおうよ」

「いいね、今よりもっと、親近感っていうか...親密感出せるようにしちゃおっ」




なんて、話してるバカップルには

全然気づかなかった。