「好きだ」
「え?」
「俺は朱理が好きだ」
メールのやり取りがあって、呼び捨てで呼んでくれるようになった上村くん。
私も予感はしてた。
もしかしたら、告白かもって...でも
私が好きなのは如月くんで、上村くんのことは、友達として、やっと見れるようになってきたところで
「あの...気持ちは嬉しいんだけど...その...」
「...冬樹が好きなの?」
「えっ、なんで...?」
「顔みてればわかるし、視線も。」
悲しそうに笑う上村くんを初めてみたけど
嫌だなぁ、この人のこの顔はあまり見たくない
「.........ごめんなさい!!」
「え?ちょ、なになに?」
「...私、勘違いしてて、上村くんが如月くんだと思ってて!!」
「よく分からないけど、え?」
「その、名前を勘違いしてて...如月くんの名前が上村くんだと勘違いしてて...」
「あ、あぁ〜...なるほどね...だから、噂聞いたのか...」
「噂?」
「俺の友達の桐谷がさ、」
桐谷くん?同じクラスの?
「朝日奈さん、お前のこと好きらしいよ?って言ってたから、期待してたけど、そういうことだったのか。俺、めっちゃ恥ずかしいじゃん」
「うそ!?なんで桐谷くん知ってるの...」
「教室で話してるの、近く通る度に聞こえてたらしい」
「そ、そんなぁ...ってそんな事より、ほんとにごめんなさい!!」
「いいよ、別に、でも、俺諦める気ないよ?」
そう、笑顔で私にいう上村くん。
こんなに真っ直ぐに見てくれる人、いなかった。
私が、最低な事をしたっていうのに、私をあきらめないでいてくれるなんて
「...ありがとう」
「こちらこそ、ありがと。じゃあ、これから覚悟してて。本気出して、狙いに行くから」
「は、はいっ!!」
「あはは、部活じゃん。」
し、しまった!!笑われてしまった...
この時はそう、のほほんと考えていたけど、よく考えれば、上村くんは納得してくれたけど、凛月は、どうしよう。
ずっと応援してくれてて、上村くんと、仲良くなったことを喜んでくれたのに。
日に日に言いにくくなるって言うのはこういうことを言うんだ。
そう感じた秋の始まり。


