そして、時は進み、体育祭当日。



練習を積み重ねたことにより、確かにクラスのみんなは初めよりだいぶ仲良くなった。


まぁ、私は1人でいたんだけどね。

朱理が見学の分、私は1人でいるのが多くなった。



今日も1日、多分一人でいるんだろう。



慣れたけどね



『続いての種目は、クラス別リレーです。選手の方は入場門に並んでください』



放送で召集をかけられ、私もその場所へ急ぐ。


並んでいる時も、ふと思ったけど、女子率低いなぁ。


私を含めて四人しかいない。


まぁ、負けてもいいか、だって、私足遅いし、仕方ない仕方ない。



「あ、冬坂さんじゃーん」


「げっ、姫崎...」


「はぁ?げってなにぃ?」


「別に。あんたもリレーなの?」


「違いますぅ〜私はチアガールだもんっ」


「あーはいはい。」




通りで気合が入ったメイクなんだね。
まぁ、この暑さだし、動いて汗かいたら1発で終わりだよね



「まぁ、がんばって?」


「ふんっ、あ。」


「?」


「あんたさ、前に言ってたじゃん。朝日奈さんを嫌がらせしてるやつの話」


「あぁ、したね。それが?」


「...ちょっと、後で話があるから、校舎裏来て?」


「...う、うん」




なんだろう。
姫崎って、嫌がらせしてくるけど、何かと優しいところがあって、確かに憎めないところはあるなぁと思った今日このごろ。




それからリレーを走り、見事うちのクラスが1位を取り、惜しくも優勝は逃したけど
楽しめたからいっか!みたいなノリで今から打ち上げに行くらしいんだけど、その前に






「姫崎ー?どこー?」


「ここよっ!」


「何してんの、そんなとこで」




姫崎は校舎裏の隅の隅で隠れるように縮こまっていた。


「あんたと話してるのが見られたら、私まで嫌がらせされるでしょ??考えてよね!」


「あぁ、はい」


「ゴホン......で、話をするけど、」


「うん、嫌がらせしてる人の話?」


「うん。実は、私たち以外であんたらに嫌がらせするなんて、そんな身の程知らず、気になったから調べたの」



口ではそう言っているけど、実は心配だったんだろう...と勝手に解釈をしていたら



「そう、で?」


「...沢田麻美って知ってる?」


「もちろん、図書委員長の可愛い人でしょ?」


「私よりは可愛くないけど、たしかに少し可愛い子よ。それでね...って何よその顔。」


「別に、ただ自分のことを可愛いなんていう人初めて見たなぁと」


「自分に正直なの!!そんなことはどうでもいいからっ、それで、その沢田が、朝日奈さんに嫌がらせしてるかもって、私の友達が」


あ、友達いるんだ...とか思ったのは内緒。

ていうか


「そんなわけないじゃん。沢田さんみたいないい人。私が嫌がらせ受けてた時も助けてくれたの」


「...あんたって見かけによらずバカね」


「は?なに?」


「女子はねぇ、裏があるもんなの。」


「沢田さんに?裏の顔が?あるわけない」


「はぁ...そのうちわかると思うけど。あいつには気をつけた方がいい。」


「...ありがと。」


「あんたの為じゃないから!あんな奴に如月くんを取られたくないっていうだけだから、勘違いしないで」



ふんっと前を向いて歩いていった姫崎。


やっぱ、ただの優しいこじゃん。


嫌がらせはしてくるけど