昨日、家に帰っている途中も
嫌な予感はしてたんだ。
帰った後も、家でずっと。
その時メールすれば良かった。そしたら、こんな事にはならなかったのに。
────ことは2時間前。
外は雨が降っていた。
「はーい、では、体育祭の種目決めをしたいと思います。種目は...」
学級委員の人がどんどん種目を紹介していた。
そういえば
さっきの休み時間、保健室に行くって言って帰ってこないな、朱理。
どうしたんだろ...?
まさか...
そう考えていた時
ガラガラ
「...遅れました」
「え...」
クラス中がざわざわしている。
当たり前だ。だって
ドアを開けたのは、ずぶ濡れの朱理だったんだから。
「ちょ、朝日奈。大丈夫か?どうしたんだ」
「いえ、少し外にいたら、急に雨が降ってきて、濡れただけです」
「本当か?あー、その格好だったら授業も受けられないだろう。着替えてきなさい」
「分かりました。」
嘘だ嘘だ嘘だ。
絶ッ対に嘘だ。
雨に濡れた?そんな尋常じゃない濡れ方をするほど雨は降ってない
「朱理っ...」
「...えへへ、大丈夫だよ」
「っ...」
また、笑ってる......
クラスのみんなが、朱理を見ていた。
朱理はタオルと体操服を持って教室を出ていった。
その後、授業が終わる頃まで、朱理は帰ってこなかった。
休み時間。もうみんなはさっきの事なんて忘れているように楽しそうにに会話をしていたけど
私はどうしても気になって
「朱理。ちょっと話せる?」
「あー、うん。いいよ?なに?」
「ここじゃ話せない。」
「......じゃあ無理。」
「なんでっ...」
「今日は、本当に雨に濡れたの。嫌がらせなんて、関係ないよ。」
「...信じてもいいの?」
「疑い深いなぁ〜大丈夫だってばっ、ねっ?」
「う、うん...」
どう見ても、そうには見えないけど
きっとこのまま問い詰めたところで...
そうモヤモヤしたままその時は過ごしていた
でも、日に日にエスカレートしていた
“嫌がらせ”
時には泥まみれだったり、アザがあったり
こんなの嫌がらせで済ませる事じゃない...
そうモヤモヤしていて現在に至った。
今日は私の元へ、姫崎がきた。
「...あんたら、ほんとやることが幼稚だよね」
「は?意味わかんないんですけど」
「なんで、私にじゃなくて、朱理に手を出すの?今度手を出したらただじゃおかないって言ったよね?」
「は?何言ってるかほんと分かんないんだけど。もう朝日奈さんには手、出してないし」
...は?
「ちょっと、待ってよ。じゃあ誰が...」
「知らないし。あー、なんか今日は調子狂ったし、気分じゃないからやーめた。じゃまたね〜すまし顔〜」
あんな皮肉をいう姫崎よりも今気になるのは
嫌がらせをしてたのが
姫崎じゃない、他の人だってこと


