次の日の朝。
最近よく眠れていない私は寝不足のまま学校へ行った。
教室に入ると、真っ先に目に入るのは、如月と沢田さん。
また一緒に話してる...
前の入口から入らなきゃ良かった。
視線を合わせないように、かつ、自然に前を横切る。
...はぁ、いつもより、今日は嫌な気分。
寝不足が原因?
寝れなかったのは私のせいじゃないし
悪いのは如月であって、私は何も悪くない。
昨日も一方的に絡まれてしまっただけだ。
なのに
この、心のもやもや?というか
ズキズキというか...
とにかく!!
変な気分になるのはなんで.........??
一時間目と、二時間目がおわり、私は自分でも分かるくらい、クラクラしているのに気がついた。
こんな時に限って、朱理はいない...
朱理どこいった?
仕方ない、と立ち上がり保健室に向かうけど途中でしんどくなり、空き教室の扉にもたれかかってしまった。
...あと少し......だけど、もう限界...
その時、聞きなれた声が空き教室から聞こえてきた。
「...なんて―――じゃん。私は........」
何を話してるかはわからないけど、話しているのは朱理だ。
それと......
「はぁ?.....だから―――···いいの?」
誰?わからんないけど、これってまさか...嫌がらせ?
まだ朱理に嫌がらせする人とかいるんだ。
バカみたい。
イラッとした私はガラッと扉を開けて、中に入った。
中には、驚いた顔をした朱理と......沢田さんがいた。
「.........え...?」
「な、なんでここに......」
「凛月...どうしたの?」
「いや、え?どうしたのはこっちのセリフだよ。二人とも何してるの?」
二人が一緒にいるところなんか見たことがない。
しかもさっきの会話...
「沢田さん...朱理と何を話してたの?」
「...別に何でもないよ?」
「本当に?なんか、揉めてるような声が聞こえたんだけど」
「そうかなぁ?何も話してなかったけど」
「...」
なんで朱理は黙ってるの?
何で本当のこと言わないの?
「朱理。何話してたの?」
「...言ったら...凛月が苦しむ...から言えない」
「...いいから。言って?」
「冬坂さん、そんなに知りたいの?」
「やめて!!沢田さんは何も言わないで!」
「朱理!!...いいから。沢田さん、言って」
なんだか、沢田さんがいつもと違う。
でも、教えて欲しい。
何を話してたのか。
私が苦しむってことは...私が関係してる話...影でいろいろ言われるのは嫌い。
だから、聞きたいって思ってたのに
「あのね」
次の瞬間
「昨日、私と冬樹くんは──したの。」
視界から朱理と沢田さんが消えた。
あ、違うか...
私が倒れただけだ。
そして、最後に聞いたのは
『あのね』
『昨日、私と冬樹くんはキスしたの。』
その一文だった。
「んっ...」
「あ、起きた?もう、焦ったよ...凛月、急に倒れるんだもん...」
「朱理...今何時?」
「えっとね、4時半だよ!」
「そう......私、なんで倒れたんだっけ?」
「寝不足...が原因だって先生は言ってたよ?寝れてないの?」
「...まぁ...ね。」
それから、しばらくの間、沈黙が続いた。
「...あの」
朱理が話し始めた時、私はすぐに止めてしまった。
「言わなくていい。もう...つかれた。」
「凛月...」
「もう、いろいろと疲れた。ね、もう、いいよ。」
「...」
もう1度、朱理と自分を納得させるように笑った。
本当に、もういい。
疲れたんだよ。
ずーっと如月のことを考えるのも
一人で悩むのも
笑顔作ることにも
全部に疲れた。
もう、いい。
『いつの間にか大きな存在になってたんじゃないの?』
なってたよ。好きに。
大きくなってた。
心の片隅にいつの間にかいたんだよ。
だけど、もういや。
こんなことしか考えれない自分にも嫌気がさした
沢田さんと上手くやっていけばいい。
私は私でやっていく。
今はこんな答えしか出せない私にも一つだけ決めたことがある
それは
好きなんて簡単に言った如月を
私は絶対に、2度と
好きにはならない。


