凛月side




如月と関わらなくなって一ヶ月が過ぎた。

もう夏のど真ん中に来ていて、もうすぐで夏休みに入ろうとしている。
先日期末テストも終わり、やっとゆっくり出来る時間がやってきた。


なのに


私の心は空っぽのまま。



如月は沢田さんと楽しくおしゃべりタイムだ。
あ、よかった。沢田さん、仲良くなれたんだ...って、元から仲いいんだっけ?


なんてどうでもいいことを考えていると

ドンッ!も目の前に朱理が現れた。


「...凛月。ちょっときて。」

「え?もうすぐでチャイムなるし」

「いいから来る!」

「え、ちょ、何!?」


腕を引っ張られながら連れてこられたのは階段の踊り場。


「痛いよ、朱理。なに?なんかあったの?」

「......如月くんとなんかあったでしょ?」

「...何も?」

「嘘。だって最近、全然喋ってないもん」

「そう?もう私のこと好きじゃないんじゃない?ほら、最近沢田さんと仲いいじゃん。沢田さんのことを好きになったんだよ、きっと」



自分でも驚くほど嘘が上手くなっている気がする


「...凛月。何があったの?」



いつも笑ってる朱理が、こんなに真面目な顔になるなんて


「...大丈夫。」

「大丈夫じゃないから言ってるんだよ。最近の凛月はずっとボーッとして、何も感情がなくなったみたいになってる」

「そんなわけないでしょ。たかが如月と喋らなくなっただけで」

「たかが、じゃないよ。いつのまにか大きな存在になってたんじゃないの?」

「...大きな、存在?」




如月が?


そんなわけない。



「...じゃあ、今、心の片隅にいるのは誰?」


「...片隅にいる...」


なにそれ。
よくわかんないんだけど



「それ、よく考えてみて?私は凛月が苦しむ姿は...見たくないよ」



「...ありがと。朱理。」

「いいの。それより、もう予鈴なっちゃったし、サボっちゃおっか!」




え?いつのまに予鈴なったの!?
しかもサボるって...


「...まぁ、いっか!たまにはね」



それから2人で渡り廊下の隅まで行って喋っていた。