次の日から、よく俺達のクラスに顔を出すようになった2人。

冬坂さんは冷静なツッコミを毎度毎度していた。

俺とは一切目を合わせてくれないけど...




そんなある日

俺が本屋に寄り道してた時、会計のためレジに向かったら
ちょうど前に小さい女の子がいて、その前に冬坂さんがいた。


俺は話しかけるか、かけないか迷った末、


話しかけないと決めた。



気づかれなまま、冬坂さんのレジが終わり、帰ろうとした時...



「お嬢ちゃん、ちょっとこれ、お金が足りないかも...」

「え...?」


前にいた女の子のお金が200円足りなかったようだ。

俺も小さい頃、お金が足りなくて、結局変えなかったなぁ、と思い出に浸っていたら



「ねぇ、あのね、私、どうしてもあなたがカバンにつけてるシールが欲しいの!!200円とそのシール、交換しない??」

「え?でも...このシール、お菓子についてきたやつだよ?」

「そう!あの、チョコレートのお菓子でしょ??私集めてて...どうしてもそのシールが当たらないの!!」

「...でも、お母さんが知らない人からお金をもらっちゃダメだって...言ってたから...」



女の子は服の袖をギュッと掴んで
下を向いた。
すると冬坂さんは、顔をのぞきこんで


「じゃあ、こうしよっか!私の名前は冬坂凛月っていうの。あなたは?」

「み、みり。」

「みりちゃんか、じゃあ握手!」



ドキマギした様子でみり、という女の子は冬坂さんと、握手をした。


(何してるんだろう...冬坂さんは)


店員さんを、見ると何故か微笑ましいようにその様子を見ていた。


「はい、自己紹介もしたし、握手もしたから、もう知らない人じゃないよね?この200円とみりちゃんの持ってるシールを交換して、友達の証にしよう!ね?」


「......うん!!ありがとう、お姉ちゃん!!」

「うん!じゃ、はい、交換!」


ニコッと笑って、シールと、交換すると手を振りながらお店を出ていった。


そのあと、ハンカチを買えた女の子も笑顔でお店をあとにした。
しばらく、その出ていった所を見ていると、店員さんに呼ばれて、我に帰った。


「...さっきの、優しい人でしたね」

「え?」

「彼女、前にもここで、違う子に同じことしてたんです」




冬坂さんが...ここで?



「そうなんですか...」

「いいですよね、優しい人って」


にこやかに話をする店員さんに、少しムッとしてしまった。
まさか、この人は冬坂さんのことが好きなのか?

冬坂さんは...どうなんだ?
好きな人はいるのか...
あれ、俺って、なんでこんなに冬坂さんの事考えてんだろ...



「お客様?どうかしましたか?」

「あ...いや、なんでもないです」

「そうですか、では、ありがとうございました」



小さく礼をしてから俺も店を出る。
外はもう暗くなりつつあった。




(......まさか俺って...)



そう思い始めたら...恋だって、秋音が言ってた気がする。



マジか




俺って



冬坂さんが、好きなんだ