“冬坂さん”


という人物を認識してから2日。



廊下でたまにすれ違ったり、朝、バス停の近くで見かけたりした。

最初はただ、見かけたら見かけたで、そのままだったんだけど、いつのまにか

(...あ、冬坂さんだ)


と、目でおっている自分がいることに気づいた。


いやなんで?
自分に自分で問いかけてみても、分かるはずがなく、そのことについてはいいか、と諦めていた時



「秋音ー!」

「朱理!!なになに?俺に会いたくなってクラスまで来たの?」

「ち、違うよ!!ただ教科書を借りに...」

「なーんだ。ちぇ...」



秋音の彼女が国語の教科書を借りに来て、その後ろには


「朱理、早く帰ろ、予鈴が鳴る 」

「あ、うん!」


「えーもう少し喋ろーぜ」

「えぇ、でも予鈴が...」

「あと3分あるぜっ」



親指を立てて、言葉の最後に星がつくくらいの勢いで秋音が言った。
すると、彼女の方は嬉しそうに、しょうがないなぁと留まっているが、冬坂さんは


「じゃあ、私は先戻るわ。朱理、遅れたら先生に言っといてあげるよ、『青春を謳歌してます』って。」

「えぇ!やめてよっ恥ずかしいし!!」

「冬坂さ〜ん、まさか...僻み??」

「殴るよ上村」

「ははは、冗談冗談......あ、あと1分だ」

「え?何が?」



ぽかんとした秋音の彼女と、ダッシュで帰った冬坂さん。
彼女さんは焦っていふ様子で、

「もう、秋音のばかぁ!」


と叫びながらクラスに戻っていった。




...なんか、嵐が去ってったみたい...