__________五ヶ月前




「なぁ、秋音。お前何してんの?」

「え?あぁ、愛しの朱理を見てんの♡」

「...気持ち悪」

「はぁ!?俺の朱理が気持ち悪い!?」

「いやお前が気持ち悪いんだよ」




五時間目が終わった瞬間から窓にへばりついて熱心に外を見ている秋音に、冷たい視線を送りつつ、俺も窓際に立つ。



「なんだなんだ〜?俺の朱理を見に来たのか?」

「なわけないだろ。てか、お前の彼女って、どれ?」

「は?あの一番かわいい子に決まってんだろ!」


自慢げに指を指した方向を見ると...


「あぁ、確かに...でも、可愛いっていうより、綺麗じゃ?」

「は?朱理は絶対可愛い部類だろ!あの低めのツインテールとか特に!!」


低めの...ツインテール??


「下ろしてる方じゃないの?」

「え?あぁ、あの子は朱理の友達で冬坂凛月っていうんだ。まさか、冬坂さんと間違えたのか?」

「うん」

「確かに冬坂さんはいい人......ん、いい人なのか...?」



いや、いい人じゃないのか...
ボブの髪を片方耳にかけて、秋音の彼女と喋っている彼女。

えと...冬坂さんたちは今から体育かな?


「...なにガン見しちゃってんの〜?まさか、恋に落ちちゃった??」


からかうように口角を上げる秋音を、冷たい目で再度見て、深くため息をついてやった。

ふともう1度視線を戻すと


あ...



そこには、冷たい目で見ている冬坂さんや、たまに微笑んでいる冬坂さんがいた。


...コロコロ表情が変わる人だなぁ



その頃はただ、そんなふうに思ってただけだった。


でもきっと


俺はこの頃から、冬坂さんが好きだったと思う