「あ、やっと帰ってきた!凛月、大丈夫だった??」

「大丈夫だよ、朱理」

「じゃあ冬坂さん、続き、教えて?」

「...ごめん、分かんないから、沢田さんに教えてもらって。あと、私気分悪いから少し外出とく」


「...」




何か言いたそうな顔をした如月に背を向け、先生に説明した後に、私は外へ出た。


山ってだけあって、夏になってきても涼しいなぁ


「...はぁ」

「何のため息?」

「うわぁ!き、如月!?なに?」

「急にあんな事言われたら気になる。何かあった?」

「別に...ていうか、早く戻ったら?」




いつになく冷たく言い放っている自分がいて驚いた。
如月も驚いているようで


「いや、ほんとに何があったんだよ...」

「...何にもないって」

「そんなわけないだろ」

「...っあんたのせいでしょ!!!あんたがあたしなんかに告白するから!!こっちは迷惑してんのに!!いいかげんにしてよ!!もう私に関わらないで!!!私の元の生活返して!!!」


「...」



私は言ったあと、ハッとして顔を上げた


「...」


如月の表情は、前に見た怒っている表情よりも
もっと、怖い。



「...あっそ。じゃあ、いいよ。勉強も沢田さんに教えてもらうし。告白もなかったことにする。これで満足かよ」



そう言い残して、建物の中に入っていった。




あれ?

なんで?


好きじゃないんだよ?

如月のことはこれっぽっちも。


ただ、いいやつかもって思ったりはした。


でも好きじゃなかった


好きなんて思ってないのに




このぽっかりと空いた穴はなんだろう