凛月side





「はぁ.........」


「こらこら、ため息は良くないよ?」


私に話しかけてきたのは、高校に入ってから仲良くなった朝日奈 朱理。


「ため息もつきたくなるわ、こんな状況だったら」


「えぇ、そうかな?だってあの学園の王子、如月くんに告白されたんでしょ?なんでもっと喜んでないの!?」


「逆になんで喜ばなきゃいけないの。女子から敵視されるだけじゃん」



そう。私、冬坂凛月は学園の王子という称号を手にした如月冬樹に先日告白...というものをされた。

そして、次の日には学園の噂になっていて...私のクラスでの立場が危うくなっている今日この頃です。


「まぁ、確かにね...私も今でも嫌がらせされたりするしね」


「あんたの場合は、彼氏が守ってくれてるから心配ないわよね...ていうか、嫌がらせされる度にどんどん仲良くなってるのが不思議なんだけど」


「うん、なんか、守られてるって感じれて幸せなんだぁ」


「あーはいはい。いちいち惚気けるのはよしなさい」


「えへへ...」



私がやめろと言った後も無意識のうちになのか、惚気を続ける朱理をスルーしつつ、窓の外を見ていると、体育で外に出ていたクラスの男子たちが戻ってくるのが見えた


「あ、」


「ん?どうしたの?」


「...最悪。今一番見たくないやつ...」


「え?如月くん!?」


「ちょ、声が大きい!!」


「あ、ごめん.....ってあ...こっち見てる...」


「は!?」


朱理の言葉を聞いてからもう一度外を見ると、私をガン見していた。
あぁ...なんてこった...


「いやぁ、今日もイケメンだね。如月くんは」


「...あんたさっきから如月のこと褒めてるけど...彼氏がヤキモチ妬くよ?」


「大丈夫だよ〜、如月くんのことは別に好きじゃないし、秋音のこと大好きだもん!」


「へぇ、それはよかった」



秋音っていうのは朱理の恋人の名前。
フルネームは、上村秋音。
イケメンで有名で、一番最悪なのは親友が如月ってこと。


イケメンとイケメンが仲良くて、学園の王子なんて...
どんなベタなマンガ?


「あ、そういえば凛月、明日ひま?」


「明日って...土曜日?」


「うん!観たい映画があってね。一緒に見に行かない?」


「いいけど、上村とは行かなくていいの?」


「明日は用事があるんだって、だから、明日は久しぶりに凛月と遊ぼうと思って!」



遊んだの先週だった気がする...
何が久しぶりなんだろ


「ふーん、分かった。じゃあ何時に待ち合わせする?」


「そうだなぁ...映画の時間が3時からだから...10時くらいから遊んで、洋服とか色んなところブラブラしよっか!」


「おっけー。そろそろチャイムなるから、また後で話そ」


「うん!」






それから、六時間目が始まり、先生が古文を読んでいる。
やっぱり、古典の時間は眠くなるから嫌だ。
あー、今日の夕飯なんだろう...
シチューが食べたいけど...暑いしなぁ



ていうか...もう夏が目の前じゃん。
うちの学校プールないから楽だけど。
明日も多分暑いだろうし、そろそろ日焼け止めも買わないと


先生が古文の現代語訳に入ったところで、私はノートを書き写し終えた。
パッと顔を上げると、みんな眠そう...ていうか寝てる奴いるじゃん。

羨ましい。


あー私も寝たいわー





そのあとも授業は続き、たまに瞼が落ちてくるのを必死に耐え、授業が終わるのを待っていた。


そして、念願の授業終了。
古典の授業ってどうしても眠くなるんだよね
仕方ない仕方ない

今日のすべての授業が終わり、あと残すはHRだけ。
あぁ、5分の休み時間を寝て過ごすか...
それとも、朱理と喋って過ごすか...


考えているうちに自然と瞼は落ちてきた。



あぁ、ごめん朱理。後でって言ったけど
無理だわ