教室に入ると机1つ1つに紙が置いてある
1番後ろの端の席
「ようこそ我が校へ 吉井ゆずる さん」
あぁ、俺の席はここなのか
窓を見つめながらその席へ座る
その時フワッと俺の大好きな
あのどこかで嗅いだなんとも言えない匂いがした
隣を見るとあの娘が座ったところだった
「ようこそ我が校へ 橘蘭子さん 」
隣の席はあの娘だったのか
俺はにやけているかもしれない
こんな気持ちは初めてだ
近くで見たあの娘の顔はやっぱり
二重なのか奥二重なのかわからない
だけど何故か惹かれてしまう
それに比べて俺の顔は
二重の猫目
高いけど大きい鼻
厚い唇
周りはかっこいいとか
美しいなんて言う奴も居た
でも俺は自分の顔が大嫌いだった
背が高いのが攻めてもの救い
「よろしく、 私蘭子 呼び捨てして?」
少し甘いその声はあの娘の声だった
初めて声を聞いたな
なんて考えてると自分が返事をしていない事に気づく
「あ、よろしく
俺は吉井ゆずる 俺も呼び捨てして」
多分あの娘 いや蘭子は笑っている
マスクのせいで表情が読めない
その後は蘭子から話しかけてきて話が盛り上がった
蘭子は自分の名前も顔も国籍も声も何もかもが嫌だと言っていた
俺は何故国籍まで嫌なのか気になって
聞いてみた
「初めて他人に言うんだけどね?
蘭子のお兄ちゃん韓国に居るの
家族から逃げたんだよ、
蘭子はまだ小さいからって
連れてってくれなかった
大好きだったのに、ショックだったな
嫌だったんだって
自分がコイツらと同じ血がとうってるんだ 同じ家に住んでる、同じ県に住んでる
同じ国に住んでる、
それで韓国行っちゃった」
蘭子は悲しそうに笑う
「なんで俺に話してくれたの?」
「お兄ちゃんと似てたから」
「え?」
「お兄ちゃんと顔が似てる背も高いし、最初驚いたもん 」
そう言って今度は嬉しそうに笑った
そういえば自分の事を名前で呼ぶ蘭子が
とっても可愛く思えた
「だから、ゆずるは蘭子の傍にいてね?」
「勿論だよ」
あの娘とこんなに早く仲良くなれるなんて
思わなかった
傍にいてね だなんて
顔は真っ赤だろう
