入学式


俺はあの娘を見つけた

あの娘はマスクを付けている

綺麗な黒い髪の毛

ゆういつ確認できるあの娘の目は
2重なのか、奥二重なのか

目が合う、
あの娘は僕を見て笑ったのか
笑ってないのか


周りの子とは何かが違う

マスクをしている子なんて沢山いるのに


あの娘は名前を呼ばれる


「橘欄子」

どんな字を書くのか知らないけど
俺の想像だと3文字だろうか

俺はその名前もあの娘の雰囲気も

いつの間にか気に入っていた



「吉井ゆずる」


俺はあの娘と同じクラスみたいだ

゛嬉しい ゛

その気持ちを隠すように俺は下を向いた



しばらくすると周りがざわつき始める

どうやら教室へ移動するらしい


あの娘の方へなんとなく視線を移すと

胸につけられた造花をとりじっと見つめていた
俺はあの娘のことしらないくせに
なんだかあの娘らしい行動だな
なんて思ってしまった