放課後、私は正門で優也と待ち合わせをして、行く先のわからない電車に乗った。

「ねぇ、どこに行くの?」
「内緒っ」

少しの沈黙が流れる。
それを先に破ったのは優也だった。

「真由は、恋したことある?」
「……ないよ」

ごめんね優也。嘘をついて。
だけど、真実を告げて嫌われたくないんだ。ごめん、本当にごめん。

「恋ってさー、甘って思ったら急にすっぱくなるんだぜ?」
「…え?」
「……お、着いたみたい。降りるぞ?」

優也はフッと笑って先に電車を出た。私もそれに続いて優也のあとをついていった。



「きれー…」
「だろ?」

優也が連れてきてくれたのは海。
すっごい久しぶりに見た。
5、6年ぶりかなー…?

「俺、忘れたいとか消したいとか思った時は必ずここに来るんだ。海の音が俺の忘れたい記憶を流してくれる気がしてさ」

優也は悲しそうに笑った。
私もなんだか悲しい気持ちになって…

「真由まで悲しそうな顔すんなよ」
「だって…」
「なぁ、俺たちもう友達じゃないよな」
「…え?」

私が…私が彩華のことを言っちゃったから…

「もう俺ら親友じゃん」

すごい優しそうに笑って、ピースをしてクシャッと笑う優也。

「男と女が親友なんてあるー?」

私も自然に笑ってた。
海が綺麗で優也の笑顔が綺麗で私の心も綺麗になる感じで…わけわかんないけどとにかく全身が軽くなった。

「当たり前じゃん。真由は俺の親友だから俺が守ってやんよ」
「ははっ、彼氏がいたらどーすんの」
「いねーだろ?」
「まぁね」

2人で笑いあって、その後海に入って小学生みたいにはしゃぎあって…
帰りの電車、私は爆睡してしまった。
夢の中で聞こえた優也の声。

「ありがとな…お前がいてよかった」

夢だけどすんごい嬉しかったのは私だけのひ、み、つ。