「実は私、彼氏いるんだ」
「えっ」
聞いてない、そんなの…
彩華に彼氏?一体誰?
「中学校で同級生だった…龍くんだよ?覚えてる?」
「えっ…」
中田龍。
THE・爽やか少年って感じで女子からモッテモテ。野球をしている。
私は思わずあの時を思い出してしまう。
泣きたいのに笑って、笑いたいのに泣いて……
「真由…?」
「…ん?あ、ごめんっ!てかいつから付き合ってるの?」
「つい最近だよ?1週間とかそんくらい前で…」
「そうなんだ…」
(優也に伝えるべき…?)
伝えないと後で知った時すごい傷ついちゃうよね…でも今伝えたって傷つくのは一緒だ。
どうしよう……
「谷口くん…もしかして私に気があるのかな…?」
「え、あ、そーかなあ?」
「だとしたら申し訳ないな…気持ちには応えられないし」
「うん…」
私はその後も上の空で、ずっと優也に言うか言わないか悩んでいた。
授業中、優也からLINEがきた。
『彩華ちゃんに断られちゃった((泣』
『そりゃいきなり映画はね〜』
『じゃあ次はカフェとか誘ってみようかな?』
胸が痛い。嘘をつき続けるなんて無理だよ。私は彩華のことをすべて話してしまった。
『そうなんだ…知らなかった。』
『ごめん、私もさっき知って…』
『真由が謝ることじゃねーよ。でも…けっこうきびーかも』
『ごめん、傷つくってわかってて…』
『いい、大丈夫。だけど今日の放課後ちょっと付き合って?』
『どこかにいくの?』
『気分転換。行き先は内緒』
優也が彩華のこと吹っ切れて、次の恋に進めるといいな。
私が彼の背中を押せるといいな。