それからも彩華についての会話は続いて、ほんとに彩華のことが好きなんだなーってのが伝わってきた。
(私も恋したいなー…)
と思うけど私が今まで経験してきた恋はほろ苦いものばかり。
羨ましいと思う反面…ね。

『俺、中林さんに話しかけてみようと思うんだけど…真由お願い!』
『あー、もしかしてあれ?優也の話題出してそこに優也が現れる的な?』
『的な的な』
『もーー、わかったよ』

優也は結構シャイなやつだ。
だけどその分一途で…ってなに優也のこと褒めてんの…と自分で自分をツッコむ。

翌日、私は彩華に優也の話題を出した。

「野球部の谷口って人めっちゃ背中でかくない?笑」
「あー、谷口くん?」
「え、知ってんの?」
「うん、LINEきた」
「え、まじ!?どーなの?」
「どーなのって?」

彩華はほんとに鈍感だ。
私はそれ以上聞くのをやめた時丁度いいタイミングで優也がきた。

「彩華っ…ちゃん」
「あ、谷口くん?」
「うん」
「直接話すのは初めてだねー!よろしくね!」
「あのさ!今度よかったら一緒に映画でも行けたら…」
「ごめん!それはちょっと…」
「あ、うん、わかった」
「ほんとごめんね?」
「いいよ!まだ仲良くないしね、俺の方こそごめん」
「あ、谷口くん…!」

優也は一瞬悲しそうな顔をしたけど、すぐに作り笑いをして走り去ってしまった。

「なんで断っちゃったの?」
「えーっと…実はね…?」