ハルとオオカミ



自販機によく売ってる、なんてことない普通のりんごジュースだ。でも、なんだか今は手の中にあるそれが特別なものに思えた。


……なんか、もったいなくて飲めないや。


「ふふふ」

「え、なんでいきなり笑ってんの。怖」

「嬉しくて」

「そんなに?」


友達になってよかったなあって。


だって、お昼休みに『五十嵐くん』って声をかけたら普通に返事してくれたり、こうやって一緒に猫見てのんびりしたり、ジュースもらったり。


これって、『友達』になった今は、なんにも不思議なことじゃないもんね。


私は今、五十嵐くんの友達だから。こうやって当たり前に五十嵐くんの隣に居られるんだ。


友達ってすごいなあ。本当にすごい。幸せで眩暈がしそう。