ハルとオオカミ



特別教室棟の外階段の踊り場に座ってパンをもぐもぐしている彼は、中庭の花壇の方をじっと見つめている。


「五十嵐くん」

「……おー。はる」


五十嵐くんは私に気づくと手を挙げて、そのまま手招きしてきた。


「?」


首を傾げながら階段を上がって彼の隣に座る。「あれ」と指で示された方を見ると、花壇のレンガのところに寝転がっている猫を見つけた。


「わあ。かわいい」


茶色い縞模様の猫はお腹を見せてゴロゴロしている。かなりリラックスしてるな……。この学校に住み着いてる猫なのかも。


「あの猫を見てたんだね」

「うん。この時間になるとよくいんの。この辺、日当たりいいから」

「ほんとだねえ。あったかい」


私たちがいる場所も、日差しが当たって気持ちがいい。日向ぼっこできそう。

五十嵐くん、お昼の時間はほぼ教室にいないんだよね。時期によってご飯食べる場所を変えてるみたいだ。最近はここに来てるのかな。


隣でパンを頬張りながら猫を眺めている、赤い毛並みの一匹狼。組み合わせが可愛すぎて最高です。