「昨日、言い出せなくて……みんなを混乱させて、五十嵐くんに濡れ衣を着せることになってしまって、ごめんなさい。五十嵐くんはあの場を収めるために嘘をついたそうです。結局、旗も五十嵐くんとはるちゃんに直してもらって……本当に反省しています」


彼女はもう一度頭を下げた。その場に沈黙が落ちる。

やがてそれを破ったのは、女子のひとりだった。


「じゃあ結局これって、五十嵐が実はイイ奴だったって話じゃない?」


その言葉に、「確かに」と賛同する声があがる。


それはどんどん広がって、鈴菜ちゃんや五十嵐くんを非難する声は聞こえてこなかった。


……よかった。


「てゆーか、あんたがあのとき五十嵐につっかかったりするから、鈴菜が言い出せなかったんじゃん」

「お、俺のせいかよ!」

「あんた、はるにも今朝色々言ってたでしょ。謝りなよ」


あのとき五十嵐くんを疑っていた男子が、女子からそう指摘されて狼狽えていた。